ggszk’s music notes

音楽に関連した話題を中心にアマチュアの視点からかいていく…

ピーター・ゼルキンとリチャード・ストルツマン

クラ吹きクラスタがピーター・ゼルキンにあまり反応しないので、ストルツマンとの関係を知らない人が多いのかもと思ったので、少しまとめてみる。ストルツマンはfacebookでコメントしている。

www.facebook.com

日本語訳した(やや意訳。こういう意図だと思うのだけど)。ピーターへの最大の賛辞だろう。

ピーターが大好きでした。 音楽の中身をあらわにし、スコアを読み尽くし、作曲家のビジョンを再創造することに心血を注ぐ、彼の強烈で容赦のない熱望によって、私の人生は永遠に変えられてしまいました。 私は最初の息子を彼にちなんで名付けました。 そして、バッハ、ブラームスモーツァルトのような音楽と、メシアン、タケミツ、ウォリネンのような同時代の作曲家やさらに若い作曲家たちに対する情熱とを融合するというビジョンへの、彼の普遍的な最大限の献身によって、ピーターは私たちが続くべき輝かしい道のりを燃やし示しました。

ストルツマンにとってピーター・ゼルキンは、自分を見出してくれた恩人のような人だろう。若い頃のストルツマンは、(おそらくそのスタイルの斬新さから)周りから理解されず活躍の場がなかったところを、マールボロ音楽祭でピーターと出会いメシアンの四重奏曲をやる目的で(アンサンブル団体)Tashiを始めることになる。この辺の経緯はWikiPediaに記述があるので以下に引用する(内容の正確さは保証しない)。

今では並ぶものの無い名手として知られているが、最初プロ・オーケストラのオーディションを受けたが不合格、ストルツマン以前にはソロのプロ・クラリネット奏者という職業が存在しなかったこともあり、歯医者になるか音楽家になるかこの時期に大いに悩んだという。 バーモント州マールボロ音楽祭でプロの演奏家として活動を始める。1973年には、メシアンの世の終わりのための四重奏曲を演奏するためのメンバーを探していたピーター・ゼルキンに誘われ、アイダ・カヴァイフィアン、フレッド・シェリーらと共に現代音楽演奏団体「タッシ」の創設メンバーに名を連ねた。

Tashi時代のストルツマンはまだ彼の個性を全開しているようには感じられない。しかし、彼は、きっと、ピーター・ゼルキンから、古典から現代に到る広く自由な音楽理解に大きな影響を受けたのではないか。そして、自分の持つ個性の価値を明確に感じられるようになったのではないか。クラリネットの価値感を変えた異才のクラリネット奏者であるストルツマンを生むのに、ピーター・ゼルキンは大きな影響を及ぼしたのではないかと思うのである。

↓彼らの代表作である、メシアンの(時の終わりのための)四重奏曲

メシアン:世の終わりのための四重奏曲(紙ジャケット仕様)

メシアン:世の終わりのための四重奏曲(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:タッシ
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: CD

Quatuor pour la fin du temps: I. Liturgie de cristal

Quatuor pour la fin du temps: I. Liturgie de cristal

  • Tashi
  • クラシック
  • ¥255