ggszk’s music notes

音楽に関連した話題を中心にアマチュアの視点からかいていく…

クラリネット4重奏のためのディベルティメントより 3. アレグロ コン ブリオ,ウール作曲

クラリネット4重奏のためのディベルティメントより 1. アレグロ,ウール作曲 - ggszk’s music notes

クラリネット4重奏のためのディベルティメントより 2. アンダンテ ソステヌート,ウール作曲 - ggszk’s music notes

の続き.これでウールが完結.最後の曲は,クラリネットらしい機動力が発揮されるスピード感のある快活な曲である.アンサンブルコンテストでもよく取り上げられていた..


Divertimento, 3. Allegro con brio by Uhl

クラリネット4重奏のためのディベルティメントより 2. アンダンテ ソステヌート,ウール作曲

こちらの続き.2曲めはmolto espress.(すごく表現豊かに)と指示されたゆったりな曲である.やや暗い雰囲気の中にも少し懐かしさを感じさせる曲想で,中間部は熱く盛り上がる.クラリネットバスクラリネットの持つ特性もよく生かされている.


Divertimento, 2. Andante sostenuto by Uhl

クラリネット4重奏のためのディベルティメントより 1. アレグロ,ウール作曲

ルフレート・ウール(1909-1992)は,オーストラリアの作曲家でヒンデミットにも少し近いモダンな作風を持っている.このディベルティメントは,クラリネットアンサンブルの定番を言える曲で,アンサンブルコンテストでも頻繁にとりあげられている.これは,3曲からなるうちの1曲めである.やや不規則な半音階的なパッセージがいやらしく,おそらく3曲の中で一番手強い.モダンさと抒情的な雰囲気を持った名曲だと思う.


Divertimento, 1. Allegro by Uhl

お家でクラリネットアンサンブル用の録音を作ってみました for Bagatelle

最近、お家で音楽用のカラオケ的動画を作るのが少し流行っているので、影響されてこんなのを作りました。


Bagatelle by Grundman, for 1st part practice

先日、動画をアップしたBagatelleの1stパートの練習用です。2nd, 3rd, 4thの音が入っています。

クラリネット四重奏のためのバガテル, グルンドマン作曲

クレア・グルンドマン(Clare Grundman, 1913-1996)は、アメリカの作曲家で、吹奏楽や管楽器のアンサンブルの曲を多く作曲しました。このバガテルは、B管クラリネット4本のために書かれた小品です。全体に、明るく軽快で楽しい雰囲気の中、中間のゆっくりしたセクションとの対比があって、演奏していて楽しい曲です。楽譜は、Boosey&Hawkesから出版されています。


Bagatelle by Grundman for Clarinet Quartet

ピーター・ゼルキンとリチャード・ストルツマン

クラ吹きクラスタがピーター・ゼルキンにあまり反応しないので、ストルツマンとの関係を知らない人が多いのかもと思ったので、少しまとめてみる。ストルツマンはfacebookでコメントしている。

www.facebook.com

日本語訳した(やや意訳。こういう意図だと思うのだけど)。ピーターへの最大の賛辞だろう。

ピーターが大好きでした。 音楽の中身をあらわにし、スコアを読み尽くし、作曲家のビジョンを再創造することに心血を注ぐ、彼の強烈で容赦のない熱望によって、私の人生は永遠に変えられてしまいました。 私は最初の息子を彼にちなんで名付けました。 そして、バッハ、ブラームスモーツァルトのような音楽と、メシアン、タケミツ、ウォリネンのような同時代の作曲家やさらに若い作曲家たちに対する情熱とを融合するというビジョンへの、彼の普遍的な最大限の献身によって、ピーターは私たちが続くべき輝かしい道のりを燃やし示しました。

ストルツマンにとってピーター・ゼルキンは、自分を見出してくれた恩人のような人だろう。若い頃のストルツマンは、(おそらくそのスタイルの斬新さから)周りから理解されず活躍の場がなかったところを、マールボロ音楽祭でピーターと出会いメシアンの四重奏曲をやる目的で(アンサンブル団体)Tashiを始めることになる。この辺の経緯はWikiPediaに記述があるので以下に引用する(内容の正確さは保証しない)。

今では並ぶものの無い名手として知られているが、最初プロ・オーケストラのオーディションを受けたが不合格、ストルツマン以前にはソロのプロ・クラリネット奏者という職業が存在しなかったこともあり、歯医者になるか音楽家になるかこの時期に大いに悩んだという。 バーモント州マールボロ音楽祭でプロの演奏家として活動を始める。1973年には、メシアンの世の終わりのための四重奏曲を演奏するためのメンバーを探していたピーター・ゼルキンに誘われ、アイダ・カヴァイフィアン、フレッド・シェリーらと共に現代音楽演奏団体「タッシ」の創設メンバーに名を連ねた。

Tashi時代のストルツマンはまだ彼の個性を全開しているようには感じられない。しかし、彼は、きっと、ピーター・ゼルキンから、古典から現代に到る広く自由な音楽理解に大きな影響を受けたのではないか。そして、自分の持つ個性の価値を明確に感じられるようになったのではないか。クラリネットの価値感を変えた異才のクラリネット奏者であるストルツマンを生むのに、ピーター・ゼルキンは大きな影響を及ぼしたのではないかと思うのである。

↓彼らの代表作である、メシアンの(時の終わりのための)四重奏曲

メシアン:世の終わりのための四重奏曲(紙ジャケット仕様)

メシアン:世の終わりのための四重奏曲(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:タッシ
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2006/11/22
  • メディア: CD

Quatuor pour la fin du temps: I. Liturgie de cristal

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  • Tashi
  • クラシック
  • ¥255